'."\n" ?> 南亭駄樂の「柿愁庵雑記」:「無防備地域宣言」と憲法第9条~戦争をしない、させないために~:南亭駄樂
南亭駄樂の「柿愁庵雑記」

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2009年8月29日

「無防備地域宣言」と憲法第9条~戦争をしない、させないために~:南亭駄樂

 いつの世でも戦争は最大の自然破壊であり、人間の心も体も破壊する。近年の戦争やテロには前線がないから死傷者のほとんどは民間人で、我々はたえず戦争で命を失う危険性を持っている。それに備えるために武力で対抗しようとすると軍備拡大のスパイラルに呪縛され、今度はいつ起こるかわからない戦争やテロのために日常生活が破壊されるのである。それに対して武器を持たない対抗方法がある。それが「無防備地域宣言」である。

◎「無防備地域宣言」はジュネーブ条約が根拠

 そもそも国際連合でも国際法的にも、自衛と国連決議以外の戦争は禁止されている。国際人道法(ジュネーブ条約等)では「非戦闘員に攻撃を加えてはならない」「非軍事目標に攻撃を加えてはならない」などの原則があり、一般住民とその財産に対して攻撃や脅迫をすることはいかなる暴力行為であっても禁止されている。にもかかわらず湾岸戦争でもイラク戦争でも(そのこと自体が違法だが)、病院や学校などが攻撃を受け、死傷者の9割以上は民間人と言われている。
 日本では北朝鮮からのミサイル攻撃の危機をあおり、それに対抗できる軍事力をつけるべきだという主張が声高に叫ばれているが、ではどこまでやればミサイルを防ぐことができるのだろう。すでに日本の軍事費は世界でもトップレベルに達しているのである。ミサイル攻撃は国際法違反であり、日本には攻撃される理由はない、という国際世論と環境を作るべきであろう。
 その一つが「無防備地域宣言」である。これはジュネーブ条約第一追加議定書第59条にあり、無防備地域(非防守地区)が宣言された地区には攻撃を加えてはいけないことが定められている。宣言できる条件は次の4つである。
1) すべての戦闘員並びに移動用兵器および移動用軍事用器材を撤去しておかなければならない。
2) 固定の軍事施設又は設備をいかなる敵対的使用にも供してはならない。
3) 当局によるも又は住民によるも、いかなる敵対行為をも行ってはならない。
4) 作戦動作を支援する一切の行動を行ってはならない。

◎「無防備地域宣言」の条例制定運動

 地方自治体に無防備地域を宣言する条例を制定させようという住民運動がある。2004年に大阪市で条例制定運動が起き、北海道から沖縄まで同様の運動が広がったが、兵庫県西宮市や奈良市、大阪府高槻市、京都市、大津市などの各議会では条例案が否決された。その主な理由として次のようなことがある。
1) 防衛は国の管轄事項であり、地方自治体は国民保護法などで有事に国と連帯協力する義務が規定されている。無防備地域宣言はそれに反し、地方自治体は法律に反する条例制定はできない。
2) 同様の理由で、地方自治体は無防備地域宣言の4条件を満たすことはできない。
3) 無防備地域宣言をしたとしても国際的に無視されることも多く、安全は保障されない。
 これは、地方は国の政策に縛られるということである。しかし、かつて福祉などで国の法律を超えたことを地方が政策として実施した例もある。しかもいまは地方分権(地方主権)が叫ばれる時代である。条例が難しいとしても、議会決議あるいは住民宣言などで地域の意思を示すことができるのではないだろうか。米軍や自衛隊の基地がある地域からは「自分のところだけよければいいのか」と言われそうだが、この運動の本質からいうと基地撤廃運動につながる。また、そうならなければならないだろう。

◎憲法9条と不戦条約、そして無防備地域宣言

 日本国憲法第9条第1項は、1928年に締結された戦争放棄に関する条約、いわゆるパリ不戦条約の第1条と文言が類似しているといわれる。
<日本国憲法 第二章 戦争の放棄>
第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

不戦条約(「戦争抛棄ニ関スル条約」)は、第一次世界大戦後に締結された多国間条約で、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、紛争は平和的手段により解決することを規定した条約である。
1928年8月にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本など15か国が署名し、その後当時のソ連など63か国が署名した。期限が明記されておらず、いまでも国際法として有効だそうだが、実効性に乏しいとも言われている。憲法9条が守られていないこととも似ている。
日本国憲法は押し付けられたものだから変えるべきだという議論がある。しかし、不戦条約のことを考えると、昔から多くの人や国が目標としている内容だということもできる。押し付け論争よりも、その内容を日本国民が受け入れるかどうかであり、憲法に定められている以上、まずは憲法の精神を守り、政府と国民が国際的に通用する道を模索することが重要ではないだろうか。
その流れで考えれば、「無防備地域宣言」をすることは憲法9条の精神を地域において具現化することになり、その運動が広がることは日本国民が憲法9条や不戦条約、国際人道法の精神を受け入れることにつながる。北朝鮮のミサイル問題も国内の米軍基地問題もイラク戦争や海賊の問題も、そういう視点から考えることができると思うのである。

2009年8月29日 13:40

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