2009年11月 3日
編集局からの手紙 新型インフルエンザによる死 三室勇
▼11月2日東京都で1人、兵庫県で2人、新型インフルエンザによる死者がでたと発表した。全国で46人目(疑いも含む)になる。東京は72歳の女性で肝硬変の持病があったという。29日の40度の熱を出し、緊急入院し、インフルエンザA型陽性でタミフルを処方したが、夜には呼吸不全となり、31日に死亡した。兵庫県は神戸市の30歳男性(悪性リンパ腫治療中)と姫路市の80歳代の男性(糖尿病)である。
▼厚生労働省は1日、岩手、兵庫、京都で3人が死亡したと発表した。盛岡市の女児(2歳)、伊丹市の女児(8歳)、京都市の会社員女性(30歳)で、盛岡市の女児は29日の夜8時頃に高熱を出し、1時間半後に呼吸ができなくなり、1日午前6時に多臓器不全で亡くなった。伊丹市の女児も31日朝に発熱し、午後には心肺停止状態となり、心不全で亡くなった。京都市の女性は30日に発熱し、呼吸不全となり、1日朝亡くなっている。ここ数日で死亡が一気にふえているようだ。
▼京都市の女性の場合、30日昼発熱37.4度、近医へ受診、夜38~39度。翌31日夕方、市民病院へ受診、40度、簡易検査でA型陽性でタミフル処方。帰宅後、歩行困難になり、救急搬送され、精神症状が現れ、呼吸症状悪化し、呼吸停止。CT検査で脳浮腫が認められた。1日未明状態悪化、午前六時過ぎに死亡している。(厚生労働省のpress releaseより)
▼新型インフルエンザは実に短時間に炎症が肺全体に広がり、呼吸不全に至ることがわかる。その炎症の拡がりは数時間で肺全体におよび手の施しようがなくなるのではないかと思われる。またそうした臓器侵襲が全身に拡大し、多臓器不全に陥るケースもみられる。しかし、こうした死亡例は全体から見ればほんのわずかである。死亡率は季節性インフルエンザで0.1%、新型インフルエンザで0.4%といわれている。しかし、これから感染拡大が更にみられると思われる。広がればその率で死者も増加する。なにしろ早い対応が必要で、明日医者では間に合わないこともあることを十分に承知しておきたい。それと簡易検査で陰性であっても医者にはタミフルを要求することが必要である。
2009年9月 1日
編集局からの手紙 民主党圧勝、とりあえずは期待したいが... 三室勇
沖縄タイムスの31日社説は、"民主圧勝「世替わり」の始まりだ"と書いている。冒頭で、「驚くしかない結果だ。山が動いた」と最大級の表現をもちいて、長き自民党の世に終わりを告げたことを確認する。その原因の一つとして――
「小泉元首相の構造改革で公共事業が減り、建設業界には『自民以外の政党でも』という雰囲気が蔓延(まんえん)した。中央との『太いパイプ』を活力とした旧来の政治が変容した」ことを指摘している。
「民主党は、官僚政治を打破し、政治主導を掲げる。予算編成や外交の基本方針を策定する『国家戦略局』を設置し政治主導で政策決定を進めていく考えだ。有権者の期待も脱官僚にある」と書くが、自民党―官僚―大企業の構造的癒着のおこぼれにあずかるこれまでの世を変えていくのは大変なことだ。脱官僚を唱えるのはいいが、あっさりと官僚たちにしてやられる可能性大という観測もある。
今回の民主圧勝は選挙上手の小沢一郎が仕掛けをつくったともいわれている。いま民主党は、幹事長人事をめぐって、小沢か岡田かといった綱引きが行われていることを新聞が伝えている。小沢一郎のねらいは何か。不気味なところがある。なにしろ福田政権と大連立をぶち上げた思想の持ち主であり、かげろうのように影が薄かった細川政権を根回しした人物でもある。容貌カイイなこの人物の頭の中には近い未来に政界再編を考えているという噂もきく。
いずれにしても選挙民は、マニフェストの実行をみまもり、おかしな動きにはノンを突きつける気構えが必要だろう。
最後に期待したいこととしては、民主党の鳩山由起夫代表は、永住外国人の地方参政権に賛成の立場で、これまで国会質問に立ってきた人物である。この政権で、ぜひそれを実現してもらいたい。また日本の戦争犯罪を明らかにする「恒久平和調査局設置法案」の議員立法にも参加してきたと聞く。友愛を説く立場で、ぜひ実現してもらいたい。
2009年8月 4日
編集局からの手紙 何時やめる裁判員制度 三室勇
裁判員制度がはじまった。多くの人々が望んでいないのにもかかわらず。この制度は殺人罪、傷害致死など重大な刑事事件のみを対象とし、量刑までも裁判員がかかわる。それも公判前整理手続きを行い、証拠、争点、審理計画などは始まる前に検察と弁護士、裁判官でネゴシエーションしておく。すでに調理済みの料理をだされるのに似ている。吟味は食材からとはいかない。なぜなら短期間で判決を出すためだ。素人に食材などみせても調理法もわからないだろうから。しかし、それで死刑になる人も出てくるわけである。
3日の夕刊各紙は、裁判員制度スタートを一面大見出しで取り上げている。朝日は「市民感覚の反映を目的とした裁判のスタートで、日本の刑事司法は新たな一歩を踏み出すことになる」と書いている。市民はこの法律を望んだわけではないのに勝手に上から降ってきた。どうみても市民感覚が反映するとは思えない。出頭が義務づけられ、むやみに拒否すれば罰金が課せられ、参加すれば日当はもらえるらしいが、一生、このことは人に話してはならないという守秘義務を負う。どうみても、ひらかれた社会をつくる礎としての法感覚を養うことにはほど遠いようにおもうが、いかがだろうか。
この制度の導入は、裁判の短縮化が至上命題だったのではないか。長い裁判は社会問題にもなっていた。しかしただ短縮すれば、ミスも増えるに違いない。裁判所、検察、弁護士の法曹界の責任が問われる。そこで人質のように市民が使われた。ミスがあっても同罪となるわけだ。そんなうがった見方もでてくる。なにせ最初の東京地裁のケースは4日間で判決を出す予定だという。この日、傍聴席から「裁判員制度反対」の声が上がった。筋書きが決まった裁判をやる必要があるのか、と問うた。
国民の8割が参加したくないと言ったこの制度を、何時やめるのか。それを多くの人に問うのがメディアの仕事ではないのか。始まったからしょうがないでは済まない。司法に市民が望んでいることは、冤罪を生む密室の自白を証拠にしないことであり、取調室の透明化を行うことだ。また世界が廃止の方向に進んでいる死刑制度を継続することがいいのか検討が必要だ。そうしたことを議論する中で、市民参加の裁判がみえてくるのではないか。
2009年6月13日
編集局からの手紙 不況の影 三室勇
先日、知り合いの広告代理店に勤務する若い友人の話では、広告出稿は恐ろしく減っているという。そういわれてみれば、新聞のページ数が以前より減ってきているように感じる。彼の話ではウィークデーに月に2回休みの日をつくって、行政の補助金をうけとる算段もしているらしい。工場では金曜を休みにし、週4日制で働くようなところもおおくなってきている。
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