2009年9月19日
コラム「風」 サイトカインストーム 三室勇
▼現在、新型インフルエンザで国内の死者が15人出ている。15人目は17日に横浜で亡くなった12歳の男児で未成年で最初の死亡例だった。男児は高熱を出し、心筋炎と診断され、入院中の検査でA型インフルエンザとわかった。男児は気管支喘息の持病があったが、死因は呼吸器ではなく、頭蓋内出血といわれている。
▼15日、沖縄で基礎疾患を持たない健常な24歳の女性が亡くなった。感染後重症化し、くも膜下出血を併発したことが死因だった。医師は肺炎の進行が早く、重症化したと印象を述べている。出血原因は不明と答えていた。
▼医師は次いで「これは想像だが、死亡した女性は、ばい菌やウイルスに対して体内で免疫反応が過剰に出る『サイトカインストーム』が起こり、白血球の減少や肝臓の機能低下などを引き起こしたのではないか。若い人ほど激しく反応するため、サイトカインストームが起こりやすいとされる」(沖縄タイムス、ネット版、18日)と語っている。
▼サイトカインストームとは何か。まずサイトカインとは細胞間の情報伝達物質である。一般に細胞の増殖、分化、死(アポトーシス)のゴーあるいはストップは周囲の細胞と密接な情報交換が行われている。その任務を果たしているのがサイトカインだ。情報伝達物質にはホルモンが知られているが、これは特定臓器から分泌され、血流に乗って遠路はるばる標的まで届くといった仕組みである。サイトカインは比較的局所で情報を交換しあい、特別な産生臓器はない。多くは免疫細胞から産生される。こうした細胞がわかったのは、30年ほど前のことである。現在、数百種類発見され、なお途上にある。
▼サイトカイン同士は相互に影響し合っており、複雑な相関性で成り立っている。新型ウイルスの増殖による炎症が起こると、さまざまなサイトカインが総動員されて、過剰反応を起こすのではないかと考えられている。これがサイトカインストーム(サイトカインの嵐)である。
▼新型インフルエンザには早い対応が必要である。抗ウイルス薬を疑いがあったら、すぐ使うことだ。イギリスでは、行政サイトがネットで問診し、診断する方法をとっている。インフルエンザと診断されると家族、友人が抗ウイルス薬をもらいに行き、患者に投与するといった簡便な方法がとられている。新政権も大胆な新型インフルエンザ対策を打ち出すべきではないか。
2009年9月19日 08:10
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