'."\n" ?> 三室勇の「不定期刊ZUBORA」:編集局からの手紙 不況の影  三室勇
三室勇の「不定期刊ZUBORA」

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2009年6月13日

編集局からの手紙 不況の影  三室勇

先日、知り合いの広告代理店に勤務する若い友人の話では、広告出稿は恐ろしく減っているという。そういわれてみれば、新聞のページ数が以前より減ってきているように感じる。彼の話ではウィークデーに月に2回休みの日をつくって、行政の補助金をうけとる算段もしているらしい。工場では金曜を休みにし、週4日制で働くようなところもおおくなってきている。

最近、知人がやっている「はなかみ通信」に短いエッセイをかいた。それを以下に載せる。
持続可能な暮らしはどこにあるのか
 「日本は、どこへ行く?」と、自分に問うてみて、思うところを書いてみます。
 「勝ち組」「負け組」の世界は、行きつく先が金融危機、すでに金融恐慌といってもいい事態につながってしまいました。イケイケドンドンの大量消費、大量生産は、地球資源の浪費、果ては地球環境の不可逆的な悪化寸前までに来てしまっています。
 それと日本の場合、高齢化がすすみ、二〇二五年には六五歳以上の人口比率が三〇%になると予想されています。すでに二〇〇六年の調査では、集落人口の半数が六五歳以上を占め、冠婚葬祭など共同体の維持に必要な行事などが困難になりつつあるところを「限界集落」と呼んでいますが、それが七八七三集落あるといわれています。集落全体の一二・六%になります。
 この二月に綾部市のそうした集落を訪ねてみたのですが、谷間の集落に二〇戸ばかりの家があり、その半数は無人と化して、七〇、八〇歳代の高齢者が住んでいるところでした。いま、綾部市ではこうした限界集落の一部を「水源の里」と呼んで、持続可能な集落にするためのさまざまな働きかけをしていました。

食の安全と自給が大きな課題
 もう一つ心配なことがあります。日本の食料自給率が三九%だということです。食料自給率とはカロリーベースで、大人一人一日の消費カロリーの三九%しか自給食料で賄えないということです。
 また、農業、漁業に携わる人たち、食料供給者は三三三万人で、人口の二・六%にすぎません。ここも高齢化がすすんでいます。
 昨年、米国のジャーナリスト、ポール・ロバーツが『The End of Food(食の終焉)』という本を出版しました。その本の紹介を三浦洌という人が雑誌『道標』(二三号、人間学研究会発行)に書いていたのですが、食の安全を含め、食の破綻を回避することが避けられそうもないと警告した内容です。定評のあるジャーナリストで、この警告は無視できないものがあります。
 国連環境計画も二〇五〇年までに世界の食料生産が最大二五%減少するとの見通しを示しています。世界人口は約九〇億人に増加しますが、気候変動、水不足による土地の劣化がすすむこと、穀物の飼料、バイオ燃料などを、その理由にあげています。

先の暮らしを考えて覚悟を決める時代
 さて、どうしよう。そんなときに「グローバリゼーションの次は何か」という副題を持つ本、山崎農業研究所編『自給再考』(農文協刊)をおもわず手に取りました。農作物自給の実践者や経済学者や思想家が書いているなかで、結城登美雄さんの文章にひかれるものがありました。結城さんは日本の農村を丹念に歩いている人です。
 東北の村歩きをしていたときに、ある村の入り口に次のような文章がかかっていたといいます。
 「この村は、与えられた自然立地を生かし/この地に住むことを誇りを持ち/ひとり一芸、何かを作り/都会の後を追い求めず/独自の生活文化を伝統の中から創造し/集落の共同と和の精神で、/生活を高めようとする村である」。この文章は村のマニフェスト、「バッタリー憲章」でした。一九八五年ころ、経済成長に取り残された村は、この村を捨てるかどうか連日、村人が集って話し合ったといいます。戸数五戸の小さな村です。当時、短角牛を飼っていて「大地を守る会」に出荷してました。都会の消費者が生産地を見学したいといい、そこから交流が生まれ、自分たちの村の暮らしを見直すきっかけになったといいます。そして憲章がうまれたわけです。
 バッタリーとは水の力で穀物を挽く、おおきなシシオドシのようなものらしいのですが、機械挽きよりおいしいといいます。
 この「バッタリー憲章」の覚悟のようなものが、いま私たちも必要になってきているのではないかと感じています。都市生活者は同列ではないといわれるかもしれませんが、要は背伸びを重ねていた暮らしを、少し腰を落として据わりのいいところを探したほうがよい、そんなことを教えられた思いです。
 いま立ち止まって、私たちが生命の系の中にあることを思い起こして、食の安全と自給のあり方を考えるときではないかと思います。

2009年6月13日 17:23

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