本澤二郎の「日本の風景」(289)

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<村上誠一郎インタビュー>
 「自民党もひどい財政赤字路線を突っ走ってきましたけど、民主党も同じようにひどいですね。よりましな政権だと期待したのですが、政界きっての財政通としては、どう見ていますか」
 「民主党は、よりパイを大きくして社会主義的バラマキをしていますね。破滅に向かって加速していますよ」


 「借金そのものである国債を発行しないと予算を組めませんね。国債大量発行の小泉内閣の再来のようにも見えますが」
 「埋蔵金なんてないですよ。円が1円上がると9000億円が吹っ飛んでいるのですからね。いま1ドルが90円を割っていますよ。見ているとまるで幼稚園のホームルームのようです。今後景気はさらに悪くなりますから税収は激減していきます。景気対策のための補正を組むと、そこでまた借金のための赤字国債発行ですよ。どこの国もそうですが、特にこの国は財政再建路線でしか生き残れません。それでいて自民党以上に社会主義的にパイを大きくしてばらまこうとしている。デフォルト(国家破綻)へと向かっている。公約通りのことをしていけば、4年後には財政崩壊ですよ。IMFの勧告が出たらどう対応するつもりなのか、とても心配です」

 「こんなに借金地獄の国はありませんでしょう?」
 「もちろんですよ。政府の公式数字でも906兆円を借金しています。これに隠れ借金などをプラスすれば、軽く1000兆円を超えています。ドル安で円高のため、一見すると強くみえますが、実態は危機的な状況にありますよ」

 「モラトリアム法案については?」
 「ダブルのモラルハザードです。借りる側は返済しなくてもいい。貸す側は国が保証する。だから審査がいい加減になります。これは無駄をなくすと言いながら、その実、国の借金をどんどん増やそうというものです。それらは国民がすべてかぶることになるのですよ」

 「自民党、特に小泉内閣の遺産で仕方ない部分もあるのでしょうが、しかし、民主党も借金地獄へと突進していますね。個人や企業ならとっくに破産・倒産していますね。ひどい?」
 「恐ろしい日本です」
<犯人は小選挙区制>
 「どうして日本の政治はこれほどいい加減になってしまったのか。原因は何だと思いますか」
 「小選挙区制ですよ。小渕内閣の時の借金は360兆円でした。バブル経済の崩壊があり、その後に住宅専門の住専に資本注入をする、公共事業で景気の下支えをする、医療・年金・介護への支援などで借金大国になってしまったのです。本来はここから本格的な財政再建、痛みを伴う改革をしなければならなかった。ところが、そのあとに小選挙区制度が始まってしまった。もう13年前になります。この選挙制度では、特に与党公約も正論が落とされて、八方美人の公約ばかりになってしまった。おいしいことで選挙に勝つことしか考えなくなった与党でしたね」

 筆者の記憶だと、昔の政治家はまともで借金することにものすごい抵抗を抱いていた。借金をすれば、すぐに返そうと必死になった。増税にも行革にも興味を示した。それが今はぜんぜんないのである。政治家と役人だけは血税をたらふく懐に入れて、平気で借金をする。政治家がいないのだ。政治屋ばかりなのである。特に小泉内閣以降は悪質といっていい。
 犯人を、村上は小選挙区制と断じた。筆者は小沢が政治改革と称して小選挙区制を強行しようとした際、エール出版の依頼で「小選挙区制は腐敗を生む」という本を書いて、その非を訴えたものである。実際は腐敗どころか、小泉内閣のような政治独裁を生み出してしまった。

 「自民党はこれからどうするつもりですか」
 「次の参院選挙で半分以上とるしかない。そのために死に物狂いになってやるしかありません」
 「それは無理でしょう」
 「正直なところ谷垣人事にはがっくりしてしまいました。すべてを幹事長にした大島任せ。ともかく予算委員会でプロを動員して徹底してやるしかないのです。1人1殺主義で。改めること、たたくことが一杯ありますから」
 「そうはいっても自民党に攻撃が得意な人物はいないか、少ない。やったことがないのだから。以前、自民党が野党時代に野中広務のような強力な人物がいましたけどね」
 「ただ政治主導でやるという。政治家に問題の本質をわかるものがいるのかどうか。議論ができないのではないか、と心配しています。緻密な議論が出来ない。アバウトな議論ばかりだと、議会の質が低下してしまうのが心配ですよ」
 「イギリス議会はまさに政治主導です。官僚に政策も答弁も任せてきた自民党政府ですから、実験する価値はありませんか。不勉強な閣僚は即座に退散させれば、野党の得点にもなりますよ。無能大臣は退散させればいい」
 「だいたい政治家は頭の良くないものばかりですよ。床屋談議にならないとも限らない。財務や金融の大臣は責任感が欠けていますよ」
 「議会の論戦の行方は、国民からすると楽しみですね。どうなるか、与野党とも試験を受けることになります。野党の質も問われますからね」
 「根本は小選挙区制ですよ。10年経って間違いがわかってきました。必ず何年か先に結論が出るでしょう。其の事を信じて訴えるしかありません。ともかく小泉がめちゃくちゃにしてしまったのですよ。IMF勧告は必ずきますよ」
<岡田克也採点>
 「話は変わりますが、民主党の代表などをして現在外務大臣になっている岡田克也は、あなたとは義理の兄弟ですね。妹が彼の奥さんですね。岡田はどんな人物ですか」
 「真面目ないい男ですよ。ただ真面目すぎるのが心配ですよ。公約に対して教条主義的ではないのかと。インド洋給油作戦や沖縄の基地問題ですが。真正面からやりませんという。本当に大丈夫なのかと」

 筆者はこの点で村上の考えとは異なる。給油作戦は明白な戦争における後方支援である。参戦している。集団的自衛権に踏み込んできた自公政権である。明白な9条違反である。給油作戦を止めることは憲法が命じる所であって、中止は日本外交史に残る快挙なのだ。
 日本がアメリカの属国でない証しなのでもある。小泉悪政の最たるものだった。岡田外交を高く評価したい。日本が出来ることは人道・民生支援に限るのである。イスラム世界への介入を憲法は求めていない。そもそもアフガン・イラク戦争に大義などない。アメリカやイギリスの国民の多くがそう信じているではないか。
 9年目に入ったアフガン戦争はベトナム戦争と酷似している。イラク撤収を決断したオバマが、何故にアフガンの腐敗政権にテコ入れするのか。人類的疑問となっている。

 「岡田の評判はまことにいいのだけれど、原因は清潔さですか」
 「清廉さでしょう。歳暮や中元を皆突っ返してしまう。親父が物心両面から支援していることもありますよ。妹だってしっかりと支えていますからね」
 「最高に恵まれた家族ですか」
 「家族や周りに恵まれているのですよ。偉いなあとは思いますよ。代表として自民党に敗北した後、こつこつと全国を歩いていた。10年以上頑張っていた。僕とは反対党だけれど、敵ながらあっぱれだと思いました。問題は政権を取ったらバラマキですよ。野党時代は財源のないものはやるべきではない、と言っていた。いま鳩山はやっている」
 「是非教えてほしいことだけど岡田は右翼ではない。リベラルですね」
 「当然ですよ。右翼ではない。リベラルでしょう」
 「改憲論者でもないでしょう。聞いたことがない。憲法擁護義務を死守しているようですね」
 「そこは確認したことはありません」
2009年10月15日18時30分記

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このページは、kawaseが2009年10月20日 20:07に書いたブログ記事です。

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