<消滅した1極化>
国連総会でのオバマ演説は、アメリカ1極主義の終焉を世界に向かって公然と発信した点に政治的な意味がある。第二次世界大戦後の覇者米ソの2極化から、アメリカ1極化時代もあえなく衰退してしまった。21世紀世界の新たな国際関係は多極化の時代が始まったことでもある。または多極化のなかの米中2強時代といってもいい。これから米国は世界の問題に全て首を突っ込むことはしない。出来なくなってしまったのである。ワシントンにぶら下がって甘い汁を吸ってきた輩は、この現実と否応なしに向き合わねばなるまい。
オバマは演説で「地球規模の課題を、各国全てが責任を分かち合わねばならない」と強調したが、言いかえると、1極化からの撤退宣言と同時に多極化時代の到来宣言でもあった。米FRBはゼロ金利維持、景気の後退は止まったといいふらしているが、実体経済は何も変わってはいない。失業は来年にかけてさらに深刻化する。
イラク戦争を止めてアフガンに絞って増派を考えていたオバマに対して、米国民はNOを突きつけている。「俺たちの生活はどうするのか」という悲鳴が圧倒してアフガン増派を拒絶しているのだ。アメリカの貧困層や医療保険のないものは4000万人を超えているのである。いまや途上国を笑えないアメリカなのだ。
<カダフィの一撃>
国連総会に初めて出席したリビアのカダフィ大佐は、実に1・5時間に及ぶ大演説をして注目させた。国連批判をとうとうとまくし立てたのだ。
「国連は、確かに見かけは立派だ。しかし、それでいて65回もの戦争が起きている。中身は疲弊している」といって、演壇から国連憲章を投げつけるというパフォーマンスをやってのけた。「ここに190の国の代表が集まっているが、安保理の常任理事国は5カ国。これのどこが民主主義なのか。5カ国にアラブ諸国は支配されている。190の国々は単なるお飾りではないか」
確かに日本はというと、5カ国のうちのアメリカのお尻にぶら下がってきた妾のような存在だった。このカダフィ演説に、ほとんどの国々の代表は溜飲を下げたことであろう。国連はもっとも非民主的な国際機関なのである。
そのことを言おうとして、わざわざ国連本部に顔を出したリビアの代表である。国連の衰退と改革の必要性を指摘するためのニュ-ヨーク入りだった。「アフリカ・アラブの代表を加えろ」という脅しともとれよう。5カ国中心の国連の運営が、もはや時代遅れであることを知らしめた点と、途上国代表に檄を飛ばすという異例の場となった。これも新たな時代の到来を予感させるものとなった。
<疲弊経済と大軍縮>
博打・ギャンブル・カジノ経済で莫大な富を築いたアメリカは、その資金の一部をはたいて2つの戦争を強行した。資源確保のためである。だが、それも度が過ぎて破綻した。カジノ経済は終わりを告げた。その負債はアメリカからEU、アラブ、アジアなど全世界に及んだ。
風船のように膨らんでいた地球は、空気が抜けてめっきり小さくなった。無駄や遊びはもはや出来なくなった。壮大なる無駄である軍事力は維持できなくなってしまった。それが今日の世界である。
同じくオバマのアメリカが先頭を切った。核廃絶に向かおうとの宣言である。広島と長崎がいち早く反応した。日本共産党も絶賛した。鳩山新政権も応じた。それはイギリスも同じ思いである。ブラウンは、核搭載のトライデント原子力潜水艦4隻から3隻にする計画がることを表明した。
米ロの核軍縮論に歩調を合わせようというのだ。イランや北朝鮮などの核保有への誘惑を断ち切るとの思惑もあるのだろう。深刻極まりない地球経済の衰退と結びついている。気候変動・貧困・飢餓といった世界的危機を乗り切るためには、平和と軍縮でしか生き延びられないことをオバマは認識したのだと思いたい。
<防衛費の無駄は?>
庶民生活第一・無駄をなくす鳩山内閣だというのに、日本の防衛費を削ろうという動きがない。これは不思議なことである。一部の報道によると、防衛省は麻生内閣が推進してきた防衛計画大綱の見直しを、そのまま容認するというのである。
事実だとすると、これはいただけない。自民党政治・官僚任せそのものである。防衛費にこそ壮大なる無駄がある。政治のメスが必要である。第一、ここは不正・腐敗の温床ではないか。このまま軍拡路線の踏襲となると、世界のすう勢に合わない。
軍縮は通常兵器にも及ぼしてこそ意味がある。核廃絶を叫ぶ日本は、率先して通常兵器の軍縮に努力する必要がある。ミサイル防衛など防衛力強化にのみ突進してきた防衛省である。それでいて近隣の軍事力拡大を非難しても始まらないだろう。隗より始めよ、である。
防衛費の大幅削減の行方が鳩山内閣を占える材料とみていいだろう。5兆円予算など論外だ。2兆円は浮かせる必要がある。東アジア共同体をぶち上げた鳩山内閣の実効性は、自らの大軍縮で見本を示すことである。
そうでないと、隣国の信頼を勝ち取ることはできない。単なるラッパで終わるであろう。
2009年9月24日16時00分記
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