<鋭い韓英メディア>
ずいぶん前のことだが、日本に滞在したことのある中国人が、当局による汚職犯罪関係者への逮捕・家宅捜査の場面が、即座にテレビ報道されている姿に驚いていた。実際は、大物政治家や財閥の本丸には手が届かないようになっているのだが、そうした事情は外国人にはわからない。多くの日本人は自由闊達なマスコミだと信じ込んでいるが、肝心要の部分では不可能に近い。
先般のテレビ出演でも人権保障の日本、そうでない中国、選挙のある日本、ない中国ということを声高にわめく日本人出演者には辟易してしまったが、彼らは日本にも人権は確立しているなどと胸を張れる状況にはないことを知らないらしい。真に公正な選挙が実施されているのかというと、そうではないという事実に無知なのである。
海外メディアに比べると、日本のそれは明らかに劣る。韓国の新聞電子版を昨夜、のぞいてみて大いに感心させられた。
<つくる会―松下政経塾・PHP>
筆者は右翼的言動が目立つ松下幸之助が立ち上げた松下政経塾議員について、政治専門家としてそれなりに関心を持って眺めてきた。一度、侵略戦争を美化・肯定するような発言をする自民党女性議員とのインタビューで、それを確実に理解した。そして、同じような議員が民主党にたくさんいることを知った。取材してみて松下政経塾の独特の教育は、若者に反共・偏狭民族主義を叩き込んでいることに驚愕してしまった。
会社の後輩にも新聞記者を辞めて政経塾に入り、現在、地方議員をしているものもいる。名古屋市長をしている河村たかしにも教えてもらった。当初は彼も、政経塾出身議員との交流があったからである。おおむね政経塾の正体をつかむことができた。国民の代表にふさわしいのかというと、悲しいかなNOである。日本国憲法を全く理解していない極右グループだからである。
しかし、マスコミは松下関係の広告を大量に載せている。スポンサーの悪口は書けない。その資金力で言論を封じ、仲間を取り込んできている。その中枢がPHP研究所を名乗る出版社であることも確認できた。ここから自民・民主両党の議員に指令が出ているという構図を分析した。
だが、政経塾と歪曲歴史教科書グループである「新しい歴史教科書をつくる会」との深い結びつきなど知る由もなかった。ここを韓国・中央日報電子版はしっかりとつかんでいたのである。
「つくる会」を「極右勢力」と正しく報道していたのである。最近、横浜市が東京・杉並区同様に「つくる会」の教科書採用を決めたことに同電子版は「横浜の中田も杉並の山田も共に政経塾出身の右翼」と断じている。政経塾首長による「右寄り教育委員の任命によって、つくる会の教科書採用となった」と鋭く分析している。これは見事である。日本マスコミが回避している点である。筆者も頷ける。
東京都知事の石原も同じようなことをしている。教育委員に「つくる会」支援者を紛れ込ませる手である。日本民主主義の危うい側面である。
民主党の影の実力者・小沢一郎が郷土の先輩・原敬の墓前にかしずいて「今の日本は戦前の昭和史に似ている」と喝破したというが、これが本気の発言であれば、彼はまともな証拠である。その通りなのだから。彼が政経塾をどう見ているのか。小沢変身が真実であれば、日本の将来に少しは期待できるかもしれない。
<沈む英国・沈む日本>
韓国紙電子版は、英週刊誌「ニューズウィーク」8月17日号の「小さな英国」論を紹介している。英国メディアは勇気がある。イラク戦争を強行したブッシュとブレアを、「戦争犯罪者」と弾劾する著名人の言動を報道している。
さて同誌の論調は、金融危機で沈没した金融都市・ロンドンを容赦なく分析している。日本は中曽根バブルさえ分析を逃げているが、さすがは英国である。「偉大な英国さようなら」と現状を正しく伝えている。そこには誇張するというような姿勢はみられない。夢と期待の消えた英国と分析している。
「もはや世界の舞台での役割を見直すしかない」「ブレア時代は軍事介入をして、まるで米国の51番目の州になった」「たとえ保守党になっても、英国の墜落を止めることはできないだろう」などと決めつけている。
書き手は著名人のコメント、それは「英国は沈む国だ」で結んでいる・
ところで、これは英国だけのことだろうか。NOである。日本のことでもある。日本も確実に沈んでいる。先が見えないのは英国と同様なのである。それはアメリカにもいえよう。日本ではそれでも「昇る太陽」というまやかしの本が、最近まで店頭に並んでいた。
中曽根バブル・小泉偽装改革を経て日本丸は難破してしまった。それでいて麻生は3年後に景気は回復する、成長戦略などというヒトラー並みに同じ言葉を繰り返し叫び、それをマスコミ、特にテレビが放映している。
頼りのアメリカも苦闘の時代に突入してしまった。日本製品を買える金のないアメリカである。EUもこけてしまった。残るは中国だけだ。その中国もまた、日本とアメリカへの輸出に頼り切っているのである。
<舵を切れ>
日本は自立するしか道はないのである。アメリカの51州では生きていけない。わかりきっていることである。東アジア共同体という新たな展望を切り開く先導役になるのである。そのためには外交の舵を切るしかない。東アジアとの連帯である。
永世中立国になればいい。日本国憲法の指し示す方向である。アジア版スイスである。隣国との信頼確保確立への唯一の手段である。近隣国・アジアは歓迎するだろう。ワシントンもオバマなら理解を示すだろう。アメリカとも平和友好条約を結べばいい。不要・形骸化する安保条約にもケリをつけられるだろう。
日本の活躍・活動の舞台は東アジアからである。 2009年8月17日記
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