'."\n" ?> 今西富幸の「思考する読書」:コラム「風」 No6
今西富幸の「思考する読書」

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2009年7月11日

コラム「風」 No6

モラルの爆弾④
 そばとうどん。どちらが好きかと問われれば、わたしは間違いなく"そば人間"を自任しています。もちろん、うどんを食さないわけではないし、好きな店だってあるのですが、そのひとつが、本場に負けないさぬきうどんを食わせてくれる「はがくれ」です。
 

 かのグルメ評論家、山本益博氏が絶賛したことで知られ、それまで隠れた名店であったのが、一躍大阪の行列店に名を連ねることになりました。大阪駅前第3ビルにあるカウンターだけの「梅田はがくれ」など、最も込み合う昼時なら、最低1時間の順番待ちは覚悟しなければなりませぬ。なぜうどんを食うためだけに、それだけの時間を空費せねばならぬのかと憤っている方もおられるでしょうが、まずはだまされたと思って、ここの「きじょうゆ」を食べていただきたい。茹で上げた麺を水にさらし、その上から生醤油と柚子をたらしただけのじつにシンプルなものですが、「うどん」はじつは「刺身」であったのだということを、文字通り身を持って思い知らされるはずです。
 ところで、なぜこんなことを書いたのかというと、先日たまたま、「はがくれ」京橋店なる店で昼食をとる機会があったからです。もちろん、店員のサービスに看過しかねる落ち度があったわけではありません。だが、わたしは失望を覚えました。いうまでもなく、注文したのは「きじょうゆ」。だが、麺にまったく歯ごたえがなく、梅田店で食すのとは似ても似つかぬ代物だったのです。どうりで、出てくるのが随分早いと思いました。おそらく、茹でてからつくり置きしておいたものなのでしょう。「はがくれ」といえば、行列自体もうひとつの名物になっているくらいなのに、ここは昼時でさえ、いくつか空席も散見されました。多言は無用。なによりそれがすべてを物語っていたようです。
 でも、これって明らかなモラル違反。いや、名店の名を借りた、ていの良い詐欺なのではないでしょうか。案の定、「梅田はがくれ」のホームページを見ると、「他地域の『はがくれ』は『梅田はがくれ』とは経営的にも完全に別の店舗になります」という断り書きがありました。
 いまはただ、「はがくれ」京橋店の捲土重来を祈るばかりです。

2009年7月11日 14:16

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