2009年7月14日
編集局からの手紙 めだかの話 その5:今西富幸
総選挙の前哨戦となった東京都議選で民主党が第一党となり、政権交代が確実となった翌朝、そのこととはなんの関係もないけれど、わが家のベランダでは発砲スチロールを代用しためだかの稚魚水槽でホテイアオイが薄紫の花を咲かせた。それがこの写真である。
早朝、めだかたちに餌をやろうとして偶然、花に出会うというのはなかなかよいものである。花は3輪あった。驚いたことに、しばらく観察していると、最初はつぼみだった花弁がまるでスローモーションを描くように開いていくのだった。その瞬間、時間が止まったような錯覚を覚えた。
ホテイアオイは水生植物で、ひげのように繁茂した根が重りの役割を果たし、見事なバランスで水面に浮かぶ。写真では見えないかもしれないが、この水面下に1、2ミリほどの稚魚が泳いでいるのだ。
ところで、かつてある哲学者は人間世界がどんなに有象無象にまみれていても植物はそんなものには関係なく、春夏秋冬、季節の花を咲かせてくれるという意味のことを言ったものだ。この植物の潔さを、ぜひともいまの日本の政治に持ち込みたいとわたしは心から願うものである。
自民党が国民からそっぽを向かれたからといって、では現在の民主党に政権を任せられるとはとても思わない。東京都民が選択したのは民主党ではなく、あくまでも"反自民"というカードだ。その中心になったのが無党派の動きではないか。消費税導入に対し国民が「NO」を突き付けた力学によって無党派票が社会党に流れ、それが結果的にマドンナ旋風などと評されたのと同じことである。ただ、政権が交代することの意味は現在の日本にとってとても大きいと思う。その意味でわたしは総選挙において棄権すべきか、あるいは投票すべきかという二者択一の選択肢を真剣に考え始めている。
2009年7月14日 01:16