'."\n" ?> 編集委員室:日曜新聞読書欄簡単レビュー:川瀬俊治
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2009年7月 5日

日曜新聞読書欄簡単レビュー:川瀬俊治

 日曜新聞書評欄簡単レビューです。文学作品を中心に紹介しましょう。

 山崎豊子『運命の人』全4巻(文芸春秋、各1600円)-朝日―は松本仁一が評者。書評としては名前は出していないが、毎日新聞の西山太吉が暴いた沖縄密約の特ダネが政治権力によりどう変質されるかを概略述べたことで終わり、山崎の小説手法などふれていないのが残念。資料の入手した山崎が一時壁にぶちあたったと聞いていたが、乗り越えて完成した作品だけに、その辺の背景も書評から知りたかった。ベストセラーとなっている本書は現在形の国家権力の情報隠しを描いているから、興味がつきない。

 同じ作品を読売が書評している。井上寿一が評した方はその文学的世界に踏み込んでいるのがいい。主人公の内面を描いていると紹介している。密約の暴露で国益にあんるかどうか懊悩する姿に読者は感情移入すると。さらにもう一つのテーマを井上はあげる。日本のナショナリズムの問題だ。主人公の挑む姿から作者(山崎)は未完の物語、日本のナショナリズムの物語を書いてもらいたいと注文している。この2書の書評は井上に引かれる。

 文学作品では吉村萬壱『ヤイトスエッド』(講談社、1680円)―朝日―は、衣食住足りた現代人が「変」になっていく姿を描いた作品のようだが、穂村弘の書評ではよくわからない部分がある。しかし「主人公たち」と書かれているから連作か複数の作品からなる本なのかと思う。人間が衣食住足りてそれで安全な社会に住み何を望むものがあるのかというごく当たり前の問いかけに、実は欲望の肥大の中で「化け物」になっていく様を描く文明批判の作品だと思えてきたのだが。さて、本の方はどうなのか。

 文学作品というべきか、サルトルの『自由への道』(岩波文庫、798円)ー毎日ーが書評にかけられた。サルトルといえば京都の人文書院だと思っていたら、岩波文庫で新訳で登場すたのである。20世紀に読んだ1人である私は再度読むとは思っていなかったが、鹿島茂の表では主人公への肩入れで若かりしころの表者はいまは脇役のマチウの兄ジャックの大人の言に心引かれるという。その分析がふるっている。「社会の全員がマチウになり、ジャックがいなくなった時代だぁらかもしれない」と。優れた小説は多様な解釈を、そして同じ作品が読む年代で違うということなのだ。『自由への道』がその作品の1つなのだ。

 日経は「北朝鮮情勢 深層探る」と「今を読み解く」で5冊の本を紹介している。ステファン・ハガード、マーカス・ノーランド『北朝鮮 飢餓の政治経済学』(中央公論新社)ではアメリカの専門家による分析で、「北朝鮮は歳入の約三分の一を援助、あと三分の一を通常の輸入、残りをミサイル販売や麻薬取引、通貨偽造、密輸」というのだ。そこd絵結論は国援助打ち切りで体制が変わるが、国際社会の足並みの乱れで実現は難しいという。ミサイル1発の発射で「北朝鮮の1年分の食料不足を補える額」という。小此木政夫・磯崎敦仁『北朝鮮と人間の安全保障』(慶応大学出版会)では社会階層分析をしている(山崎の崎は山へんに立に可)。核心階層、動揺階層(一般階層)、敵対階層に分類・管理され、移動や通信の自由も制限されている実態を紹介、国民は「欠乏」と「恐怖」という圧迫のもと抑圧を受けざるを得ないというのだ(評者の池田元博の紹介文からの引用)。日本人拉致問題と日朝交渉の経緯を描いたのが田中均『外交の力』(日本経済新聞社)だ。中国の軍人が書いたのが、綾野著、富坂聡編『中国が予測する¨北朝鮮崩壊の日¨』(文春親書)だ。(敬称略)

2009年7月 5日 13:55

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