寄稿

2009年11月11日

映写室 NO.25 eatrip(イートリップ):犬塚芳美

    ―ごはんのじかんです。―

 おなかよりは心のごはんのような作品だ。食にこだわりを持つ、職業も年齢も違う出演者たちが身にまとう、クリエイティブな匂いに心を擽られた。「人と食を巡る、映画のかたちをした、ごはん」と言うキャプションがついているが、まさに食は生き方だ。誰もの生き方のセンスがよくて、このドキュメンタリーをお洒落に仕上げる。監督はテレビ、ラジオ、雑誌等で幅広く活躍するフードディレクターの野村友里(のむらゆり)さん。全編フィルム撮影と言うこだわり様で、"食"の周りの言葉にならない空気感を映します。
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2009年11月 6日

映写室 「無防備」市井昌秀監督インタビュー(後編):犬塚芳美

―息子の誕生に命の大切さを思う―

<昨日の続き>
―富山と東京の違いはどうですか? 物を書く仕事で、東京は時間の流れが速く、情報が多過ぎて自分を見失いそうだからと、敢えて不便な地方に住み距離をとっている知人がいますが。
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映写室 「1000年の山古志」橋本信一監督インタビュー(後編):犬塚芳美

   ―中越大震災と闘った小さな村の物語―

<昨日の続き>
―ええ、そうでしたね。
橋本:山古志は元々地震や地すべりがあった土地で、それを乗り越えて命を繋いで来ている。ここの様な中山間地は日本の大部分を占めています。映画に出てくる人々がどう生きているかを描いたら、日本人の生きてきた姿が浮かび上がるはずだと思いました。元々日本人は人の繋がりを大事にして、自然と共生して生きてきたんですよね。「掘るまいか」を撮った時から、(この村の深さは何だろう?)と思っていました。腹にすとんと落ちなかったそんなものが「1000年の山古志」のテーマに繋がったんです。(これは日本の村の物語だよね)という、うっすらと感じていたものが、ラストまで撮って解ったというか。俺達が作りたかったのはこういうものだったんだと、作りながら解りました。
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2009年11月 5日

映写室 「1000年の山古志」橋本信一監督インタビュー(前編):犬塚芳美

 ―中越大震災と闘った小さな村の物語―

 未曾有の災害となった2004年の中越地震からもう5年。私が山古志の名前を知ったのは、あの時流れた全村避難のニュースでした。半分崩れ落ちた道、美しい棚田や錦鯉の池の崩壊、牛舎に取り残された牛たちの姿と、自然の猛威を見せ付けた映像が忘れられません。それと共に、暫くして届き始めた、あれほどの破壊の後でも村の人々が少しずつ山に帰っているというニュースに驚いたものです。
 この作品は、山古志村を舞台に「掘るまいか」を撮った橋本信一監督が、震災の2週間後からカメラを回し続けたもの。1000年の歴史を持つ村が、災害に負けずどうして再生を目指せたのか。村人たちの不屈の魂、英知を探っていきます。そこから浮き上がるのは、山古志だけではない、私たち日本人がもっていた生きる力、普遍的なものでした。橋本監督にお話を伺います。
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映写室 「無防備」市井昌秀監督インタビュー(前編):犬塚芳美

     ―息子の誕生に命の大切さを思う―

 妻の懐妊で思いついたという、大きいお腹と同時進行のこの物語は、ドキュメンタリーなのか、劇映画なのか? 題材と共に、境界を曖昧にした斬新な手法が光ります。そんな独特のスタイルと出産を真正面から扱った大胆さに、第30回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)はグランプリを含め3部門の賞で応えました。さらに第13回釜山国際映画祭コンペティション部門ではグランプリを受賞し、第59回ベルリン国際映画祭への正式出品と勢いが止まりません。市井昌秀監督に制作秘話等を伺いました。
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2009年11月 4日

映写室 NO.24 スペル:犬塚芳美

 ―小さな不親切が引き起こす悲劇―

 「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミ監督の最新作が届いた。あまりの過剰さに悲劇なのか喜劇なのか解らない。恐怖で震え上がってはいても、後ろの席からは笑い声が聞こえてくる。そうなのだ、これって笑い飛ばせば良いんだと気付いても、私のセンスでは固まったままだ。これってセンスを試されているのかも? 誰かの笑いの引き金がいる。たまにはそんな奇想天外なハチャメチャも良いだろう。さあ、史上最悪の敵とは誰か、ほんの些細な不親切から極限に追い詰めらる主人公と一緒に、最悪の3日間を経験してみよう。ちなみに「スペル」とは、呪文や呪縛にかけられている状態を指します。
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2009年10月28日

映写室 新NO.23「パリ・オペラ座のすべて」&「アニエスの浜辺」:犬塚芳美

    ―フランスからのドキュメンタリー2本―

 今週は2本のドキュメンタリーです。両方ともフランス作品で、男女2人の巨匠が、これぞ芸術の世界を熟達の技で描きます。「パリ・オペラ座のすべて」は、題名どおりにパリ・オペラ座を拠点とする世界最高峰のバレエ団の練習風景と活躍を、フレデリック・ワイズマンならではの肉薄と構成力で。「アニエスの浜辺」もまた題名どおりに、アニエス・ヴェルダが浜辺を舞台に、夢と現の境界で遊ぶ自身を描いた自画像映画だ。前者が芸術と芸術家の本質に迫っていく職人技の端整さなら、後者はクリエイターならではの洒脱な世界。映画で芸術を見るか、映画で芸術するかと、ある意味対照的で、今更ながらにフランスの芸術分野の多様さに驚く。

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2009年10月21日

映写室 新NO.22「きみがぼくを見つけた日」&「アンナと過ごした4日間」:犬塚芳美

     ―究極の二つの愛の形―

 今週はちょっと風変わりな設定の、二つの愛の物語です。アメリカ映画の「きみがぼくを見つけた日」は、体が勝手に時空を超えてしまう男と、そんな男を愛する妻との切ない物語。ポーランド映画の「アンナと過ごした4日間」は、片思いの男のとる驚愕の行動を切なく描写。ハリウッド的な広がりのある豪華な映像と、ヨーロッパ映画らしい絵画的で重い映像という作風の違いだけでなく、時を越えて求め合う魂と一方通行のまま4日間で終わる至福の時と、愛の形や期間も対照的だ。
 <形は違っても>、それぞれに感じるのは究極の愛。当人だけでなく他者から見ても愛は切ない。あのひと時は夢か現かと、主人公と共に戸惑う。脚本の巧みさ、設定の妙と、どちらも捨てがたいけれど、2本のどちらにより惹かれるかが嗜好の分かれ目だ。

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2009年10月14日

映写室 新NO.21「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」&「パンドラの匣」:犬塚芳美

      ―太宰治生誕100年に送る、映画化作品2本―

 <2009年は、太宰治の生誕100年>に当る。この後も「斜陽」、「人間失格」と太宰文学を原作とする映画の公開が控えているが、まずは対照的なこの2本だ。対照的といっても、ちょっと気取った言葉のやり取りと、そこから生れる間合いの美しさは共通している。太宰に重なる男の魅力と、女にもてたと言う作家の視点で描く女性たちのたおやかな美しさもそうだ。鮮やかな映像が私の中で時々セピアに揺らぐ。
 <終戦前後の世相を濃密に描きながら>、どちらの作品の人物像にも今を感じるのは、監督の工夫と共に太宰文学の普遍性だと思う。映画の魅力だけでなく、底流を流れる夭逝作家の魅力にも惹かれる。久しぶりに太宰を読みたくなった。この秋、文芸の世界にいざなう2本です。
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2009年10月10日

映写室 「USB」奥秀太郎監督インタビュー(後編):犬塚芳美

    ―「愛の進化論。」とは?―

<昨日の続き>
―お二人ともお出になるだけで映像に物語を感じるというか、独特の存在感がありますものね。どんな役もこなす桃井さんは今回普通の母親、日常性との繋ぎ役でした。
奥:普段奇抜な役をやることの多い方なんで、逆に母親をやったら面白いかなと。
―その母親は息子の事をどこまで解っているのでしょう。監督の設定では?
奥:僕の中では、ある程度のことまでは解かっていて許している設定です。ただ、母親が思っている以上のことを息子はやっていますよね。母親はさすがに人を殺しているとまでは思わないけれど、色々な事をやっているんだろうなあと感じながら、気がつかない振りをしていると。母と子ってそんなところがあるじゃあないですか。感じてはいるんだけれど、口に出せない。子供として庇護し、心配しながら見逃しているというか...。

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2009年10月 9日

映写室 「USB」奥秀太郎監督インタビュー(前編)

    ―愛の進化論。―

 一時ニュース映像に頻繁に流れた奇形のタンポポは、どうしてああなったのだろう? 以前に核燃料の再処理過程で臨界事故を起こした町は、今どうなっているのだろう? 一見平和そうな町の、見えないところで進んでいく環境破壊。放射能や化学物質という文明が生んだ異物は、遺伝子レベルで猛威を振るっている。地球に未来はあるのか? 私たちの、恋人達の未来は? そんな明日の見えない現代社会に、日本映画界の異端児と呼ばれた監督が、「愛の進化論。」を投げかけます。舞台映像を多く手がける奥秀太郎監督に、この作品の誕生秘話や多彩な出演者等について伺いました。

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2009年10月 7日

映写室 新NO.20私の中のあなた:犬塚芳美

    ―姉のドナーとして生まれてきた妹―

 「My Sister's Keeper」という原題の前に「I am 」を付けると、この映画の内容を正確に現す事になる。そう、白血病の姉の命は、彼女のドナーとなれるよう遺伝子操作して生れてきた「I」、つまり妹にかかっているのだ。生れる前から臓器提供が目論まれているなんて、何だかぞっとする話だけれど、病気の娘を救おうと必死の母親には、もう一人の娘の人権が見えない。現実離れしていそうで、医学の進歩した今、起りそうな話でもある。親子、姉妹の情愛だけでなく、命に絡んで幾つもの倫理問題を考えさせられた。

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2009年9月30日

映写室 新NO.19エスター:犬塚芳美

  ―愛らしい少女のポスターの不思議なインパクト―

 最初から最後まで恐怖で息を詰めた。とにかく怖い。それも、絵空事ではなく身につまされて怖かった。そんな内容をよく表しているのがポスターだ。古風な服装をして黒い髪と黒い瞳で、真っ直ぐ前を見ている少女の映像は、可愛いのだけれど、よく見ると、ほんのすんでの所で不気味さも漂う。キャプションの通り「この娘、どこかが変」なのだ。
<誰もの心を掴んでしまうポスターの力で>、この秋、彼女の事が評判になるかもしれない。もちろん、観ればもっと虜になるはず。じわじわと迫ってくる恐怖感がたまらない。監督は「蝋人形の館」のハウメ・コジェ=セラで、製作にはレオナルド・ディカプリオも名を連ねている。ミステリーファンだけでなく、人間ドラマが好きな方にもお勧めしたい。

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2009年9月23日

映写室 新NO.18あの日、欲望の大地で:犬塚芳美

     ―消せない記憶―

 <原題の「THE BURNING PLAIN」の示す>通り、農薬散布の飛行機が墜落して炎上するシーンから始まる。これがその後の、まるで関係なさそうな物語にどう繋がっていくのかは、後半位までお預けだ。謎解きの後でなるほどと唸らされる、念入りに計算されたストーリーだけれど、それもそのはず。脚本は、小説家出身で「バベル」や「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」等で多くの脚本賞を受賞しているギジェルモ・アリアガで、この作品で初の長編監督を務める。他の作品でも見られるように、アリアガの出身地メキシコを絡め、場所と時空を交差させた複数の物語を、女たちの愛が貫いていく。何ともスケールが大きい構成が魅力だ。

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2009年9月16日

映写室 新NO.17「ココ・シャネル」&「ココ・アヴァン・シャネル」:犬塚芳美

     ―シャネルの映画2本―

 独特のマークを思い出させる題名だけでも魅惑的な、公開中の「ココ・シャネル」、公開直前の「ココ・アヴァン・シャネル」、来年早々公開の「シャネル&ストレヴィンスキー」と、ココ・シャネルを題材にした作品が続く。こうなったら全部を見比べたい。これほどの競作は珍しいけれど、なんでもそれらが作られた2008年は、シャネルの生誕125周年に当たったのだそうだ。もちろんそれだけではなく、時代の要請やシャネルの戦略もあると思う。若者主導のチープなファッションに流されっぱなしの今、シャネルのモードが一杯のこれらの映画をきっかけに、大人の服に目覚めて欲しいと考えても不思議ではない。
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2009年9月11日

映写室 「BSURA(バスーラ)」四宮浩監督インタビュー:犬塚芳美

   ―「巨大なゴミ捨て場」僕は、ここで生きている―

 フィリピンと言うと、真っ先に思い浮かぶのは「スモーキーマウンテン」。マニラ市内のありとあらゆるゴミが運び込まれるこの地には、ガラス瓶、アルミ、鉄等、再生できる資源を拾って生活する人々が大勢住んでいた。閉鎖されたけれど、場所を移しても多くの人が今もそんな仕事を続けている。89年にこの地を訪れて以来「忘れられた子供たち スカベンジャー」、「神の子たち」と、痛ましい現実の中でも輝き続ける子供の生を記録し続ける四宮浩監督が、その後の家族を追ったのが新作「BSURA(バスーラ)」です。作品の背景等を伺いました。

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2009年9月 9日

映写室 新NO.16キャデラック・レコード:犬塚芳美

   ―ポピュラー音楽の創成期―

踊りださないまでも体でリズムを取りながら観てしまう。ロックが誕生する以前のカントリーやブルース、ジャズが流れ、音楽好きなら見逃せない作品だ。
<舞台はちょっと古い> 1950年代から60年代、70年代にシカゴに存在した名門のレコード会社、チェス・レコードとその周辺のアーティストたちの光と影を、実話に基づいて描いていく。そう言うとまるで業界裏話だけれど、黒人と白人に象徴される人種問題も絡まり、音楽の向うに当時の社会背景も浮かび上がるのが優れた所だ。
<時流に翻弄される流行業界のこと>、光が強ければ影も濃い。しかも、熱狂が大きければ大きいほど、舞台前の緊張感は計り知れない。押しつぶされまいとするそれぞれの苦悩、音楽を聴きながら人生を思う作品にもなっている。
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2009年9月 4日

映写室 「TAJOMARU」小栗旬舞台挨拶レポート:犬塚芳美

 ―始めに小栗旬ありきの企画だった!―

 芥川龍之介の「藪の中」を新しい解釈で蘇らせた大型時代劇「TAJOMARU」がもうすぐ公開になる。時代劇だけれど、テンポ、テーマと時代劇の枠を超えたエンターテインメントの仕上がり。惚れ惚れするような男気溢れる人間の魅了をたっぷりと描く。主役は「クローズZERO」、「クローズZEROⅡ」で人気を不動にした小栗旬。世界をまたにかけて数々のヒットを飛ばす山本又一郎プロデューサーと一緒の、舞台挨拶のレポートです。
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2009年9月 2日

映写室 新NO.15サブウェイ123 激突:犬塚芳美

     ―1時23分発の地下鉄でNYをハイジャック―

 こんな作品を観た直後は、電車に乗るのさえ怖くなる。日本でも以前にバスジャックがあったけれど、地下鉄でハイジャックに巻き込まれるなんて災難でしかない。カメラが、事件現場・身代金の輸送・犯人の追走を追って、轟音の響くNYの地下鉄線路構内に潜り、カーチェイスを追っかけてハイウェイをぶっ飛ばし、ヘリコプターで摩天楼を俯瞰してと、縦横の視点が迫力の作品だ。
<原作はジョン・ゴーディのベストセラー小説で>、1974年の初映画化作品「サブウェイ・パニック」を、トニー・スコット監督が時代に合わせて翻案したもの。デンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタと言う演技派2人の息を詰める頭脳戦が見所だ。人間だけでなく、蜘蛛の巣のように張り巡らされた地下鉄路線という、内臓までさらした巨大なNYの街も片方の主役だと思う。
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2009年8月14日

映写室 戦争ドキュメンタリー2本:「花と兵隊」(後編):犬塚芳美

 
<昨日の続き>
―庭にある塔は、藤田さんが一人で遺骨を拾ってご自分で立てたものですよね。言葉が論理的でなくて、少し解り辛い。でも単語一つ一つを搾り出すように、痞えながらで、逆に迫力があります。<続きを読む>

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2009年8月13日

映写室 戦争ドキュメンタリー2本:「花と兵隊」(前編):犬塚芳美

 ―松林要樹監督インタビュー― 
 太平洋戦争末期、地獄の戦場はアジアのいたるところにありました。先々週の作品の舞台、ソ連侵攻に伴う満州国崩壊は、開拓民を巻き込み地獄絵となりましたが、陸軍兵士の地獄絵の1つが、1944年3月に発動された「インパール作戦」です。この作品「花と兵隊」に登場するのは、タイ・ビルマ国境付近で敗戦を迎えた後、祖国に還らなかった6名の日本兵とその家族。2005年から3年にわたる取材で、未帰還兵のその後を追った松林要樹監督にお話を伺いましょう。
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2009年8月12日

映写室 新NO.12 南極料理人:犬塚芳美

  ―究極の単身赴任地で!―

 毎日茹だる様な暑さ、せめて映像だけでも涼しげなものが見たい。今週はそんな要求にぴったりの作品を取り上げよう。舞台は白一色、雪、雪、氷。外を歩くと、口ひげの周りが息で凍ってきたりする。
 <原作は、1997年の南極ドームふじでの越冬隊に>、海上保安庁から派遣されて調理を担当した、西村淳さんの「面白南極料理人」。題名からも察せられるように、人間ドラマだけでなく、毎食並ぶ美味しそうな食事も見逃せない。
 <考えてみると極寒の地は究極の単身赴任地> 隊員だけでなく、送り出し待つ身の家族との間には複雑な物語がある。本当に寂しいのはどちらなのだろう。面白おかしい男たちの物語だけど、なんとも愛しい男と女の物語にもなっている。
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2009年8月 6日

映写室 「色即ぜねれいしょん」&「堀川中立売」案内:犬塚芳美

   ―公開間近と編集中の、京都が舞台の2作品―
 
 少し前に「鴨川ホルモー」がありましたが、今回取り上げる2作にもディープな京都が登場します。8日から関西先行上映の「色即ぜねれいしょん」の原作者は、京都出身の作家兼マルチタレントのみうらじゅん。まだ編集中の「堀川中立売」は、京都に移り住んで来た柴田剛監督が、地名に触発されて想像を広げたオリジナル脚本。どちらも製作側に地元人が絡んでいるゆえのディープな京都が映る。住民目線の京都は、スクリーンに広がるとちょっと怪しい。古臭さと今が混じって時代もあやふや。サンダル履きの感覚で、京都の町の暮らしの匂いが嗅げます。
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2009年8月 5日

映写室 新NO.11「ボルト」&「屋根裏のポムネンカ」:犬塚芳美

   ―対照的な作り方の2本の冒険アニメーション―

 夏休みのせいか、良質なアニメ作品の公開が続きます。今週取り上げるのは、新生ディズニーによるCGアニメーションと、芸術の国チェコが誇るストップモーション・アニメ。先週の「サマーウォーズ」の平面性とは違って、今週の2作はどちらも立体的。しかもどちらも冒険物語で、友情が起こした奇跡を描きます。ここまで進歩したと誇るような、ハイテク技術を酷使した「ボルト」も、65年の歴史を持つ、恐ろしくアナログな手法の「屋根裏のポムネンカ」も、作品の根底は友達を思う心。勇気を奮い立たせるのはいつも誰かへの熱い思いでした。手法と物語の両方で、クリエーターたちの創造力を楽しみたい。
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2009年7月31日

映写室 戦争ドキュメンタリー2本:「嗚呼、満蒙開拓団」(後編):犬塚芳美

―羽田澄子監督インタビュー―

<昨日の続き>
―お墓は松田さんが建てたのですか?
羽田:飢餓や寒さで死んでしまった開拓団の遺体が方正周辺に山となっていたんです。冬は寒いから凍っていたのが、春先になって溶け出してくる。匂いも凄くて、困って遺体を集めて燃やした。それがそのままになっていたのを、あのあたりの開拓が許されて土を掘り起こしていた時、ちゑさんが見つけて心を痛め、何とか供養したいと方正県政府に日本人のお墓を作る許可を申請するんです。そこから省政府、中央政府と回って、最終的には周恩来総理の元まで行ったようです。で、日中が国交を回復する9年前に、まだ貧しかった中国政府の手で、中国人の字で刻まれたお墓を建ててくれたと。
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2009年7月30日

映写室 戦争ドキュメンタリー2本:「嗚呼、満蒙開拓団」(前編):犬塚芳美

   ―羽田澄子監督インタビュー―

 お盆と共に今年も終戦記念日が近付いてきました。今更ながらに平和の大切さを噛み締める時期ですが、時を合わせたように、戦争の惨さを伝えるドキュメンタリーが上映されます。「嗚呼、満蒙開拓団」と「花と兵隊」の2本で、前者は文字からも解るように、引き上げの際に多くの中国残留孤児を出した中国北東部の満蒙開拓団の話。後者は敗戦時に自らの意志で日本に帰らなかったタイに住む未帰還兵の物語。どちらも声高に反戦は言わないけれど、すくいとった人生の過酷さが雄弁に何かを語ります。今週、来々週で、それぞれの監督インタビューをお届けしましょう。<続きを読む>

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2009年7月29日

映写室 新NO.10サマーウォーズ:犬塚芳美

  ―大家族が挑む現実と仮想都市OZの危機―

 ネット社会はどんどん進化している。でもサイトの悪用や支配を目論むサイバーテロも、ますます巧妙になっていく。まるでいたちごっこだけれど、今や取り締まりにサイバーポリスが必要な段階に来たと、先日も専門家が言っていた。んん?、ネット音痴には何だか難しいが、そんな未知の領域を視覚化して、アニメーションならではの解り良さときれいな映像で体感させてくれるのがこの作品だ。
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2009年7月22日

映写室 新NO.9セントアンナの奇跡:犬塚芳美

 オバマ大統領が誕生して「CHENGE!」が合言葉になった。アメリカは何を変えないといけないんだろう? この作品は、1983年のアメリカと第二次大戦も末期のイタリア、トスカーナ地方の物語を繋いでいく。<続きを読む>

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2009年7月21日

映画『鞠の行方』(1930年作品)大阪・浪速で上映 主催者から

★ 差別と向き合った営み戦前の西濱を見つめる ★
 ●  80年以上の部落問題の教育映画の傑作  ●
   『毬の行方』  上映会!!!!

 日時; 8月4日 火曜日   6時半 開演
 会場; 浪速区人権センター5階集会室 JR環状線「芦原橋駅」南口すぐ
 料金;無料  資料代500円
 
主催者からのメッセージ・作品解説はこちら

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